ソシオニクスにはモデルAという考え方があり、ソシオニクスのタイプ(ソシオタイプ)を理論的に理解するのに役立ちます。今回は、ソシオタイプの1つであるILI(批評家)のモデルAを紹介します。
ソシオタイプILIの「モデルA」とは?
ILIは、MBTIのタイプINTJとおおよそ対応するタイプ(※諸説あります)で、Intuitive-Logical-Introvert(直観-論理-内向型)の略です。
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モデルAは、ソシオニクス創始者のアウシュラ・アウグスティナヴィチューテさんが発明したモデルです。このおかげで各タイプの性格の違いや、考え方のプロセスをシステマチックに考えることができます。
ILIのモデルAは、以下の図のようにあらわします。
ILI(批評家)の自我
モデルAの1行目は自我ブロックです。そのタイプの個性やアイデンティティをあらわす部分です。自分でも上手に扱うことができ、価値を感じており、意識しています。
自我ブロックには、主導する機能(第1機能)と創造する機能(第2機能)があります。
ILI(批評家)の主導する機能:内向直観
ILIの主導する機能は、内向直観(Ni)です。
ILIは、過去を振り返って因果関係をとらえ、未来の予測に活かせるようにします。
主導するNiは、周りの世界を直視しないときや、世俗的な出来事から自分が解放されていて遊離していると感じるときに一般にあらわれます。このために、彼らは非常に発達した想像力を持ち、そして独特な精神世界を築いていることがあります。しかし同時にひどい怠惰や無気力に陥ることもあります。彼らは想像力を使って世界を理解するので、データや経験が足りない状況でも切り抜けられるかもしれません。ただし、想像力を過信して実際のデータを無視しすぎてしまえば短所にもなります。時間を超越して因果関係を把握する能力もNiの特徴です。この能力は、今後の大まかな流れとその結果を正確に予測する能力へとつながることがあります。
Introverted intuition – Wikisocion
ILI(批評家)の創造する機能:外向論理
ILIの創造する機能は、外向論理(Te)です。
ILIは効率的に問題を解決できます。そのおかげで、人からの尊敬を集められます。
観念的な一貫性よりも事実上の正確性を、また、雰囲気を悪くしないための慎重な言葉遣いよりも、客観的で「不快な」コミュニケーションを好みます。効率的で合理的で有意義なものの見方は、自分の幸せと心の平和にとって不可欠なものではありますが、積極的で生産的であることに差し迫った必要性を感じているわけではありません。
Extroverted logic – Wikisocion
ILI(批評家)の超自我
モデルAの2行目を超自我ブロックと言います。義務感や社会規範にかかわります。価値を感じないし苦手意識が強いですが、見栄を張ったり褒められたがったりします。
超自我ブロックには、規範の機能(第3機能)と脆弱な機能(第4機能)があります。
ILI(批評家)の規範の機能:内向感覚
ILIの規範の機能は、内向感覚(Si)です。
ILIは、自分を「居心地が良い人」のように見せようと努力します。
くつろぎだの楽しみだのそれをもたらしてくれる娯楽活動だのの必要性を他人に強調されるのを嫌がります。なぜなら、内心はまったく逆のことを求めているからです。つまり、彼らが求めているものとは、行動力と決断力なのです。「自分の身体が何を言っているかに耳を傾け」るための時間を費やすよりもむしろ、外部からはっきりと要求されることで、不安と躊躇という自分の感覚に打ち勝つ必要があります。
Introverted sensing – Wikisocion
ILI(批評家)の脆弱な機能:外向倫理
ILIの脆弱な機能は、外向倫理(Fe)です。
ILIは、激しい感情に支配される恐怖に、一生懸命耐えてきた人です。
自分が「バラバラにほどけてしまわない」ように感情に必死で耐えようとするか、さらには大っぴらに強い感情を追い出そうとします。なぜなら、感情を表に出すことは自然にはできないことであり、感情を表に出すと自分が自意識過剰で痛烈な批判に弱いように感じるからです。こういうわけで、このタイプは一般的に感情に波がなく、興奮や混乱にもうわべの関心しかない(politely indifferent)ように見えるのです。感情が激しく表現されるようなグループ活動においては特にそうですが、他の人から「元気出してもらおう」とか「楽しんでもらおう」と企てられるのを非常に嫌がります。
Extroverted ethics – Wikisocion
ILI(批評家)の超イド
モデルAの3行目を、超イドブロックと言います。無意識で苦手だけれども価値を感じていることなので、何でも鵜呑みにしたり人任せにしたりしやすい部分で、自分の望みや自己実現にかかわります。
超イドブロックには、暗示される機能(第5機能)と動員する機能(第6機能)があります。
ILI(批評家)の暗示される機能:外向感覚
ILIの暗示される機能は、外向感覚(Se)です。
ILIは勇敢な人に憧れます。そういう人が周りにいると、人生が刺激的になります。そうでないときは、自分の意気地のなさを誰か・何かのせいにします。
しばしば怠惰なのが特徴です。もし自分の裁量で動くのなら、比較的外界との関わりが少ないほうの策を選ぶかもしれません。そして外界と関わると、自分の活動は空虚で果たされないまま終わるのだと感じることがよくあります。この人たちにとって、人生は刺激的な期間によって特徴づけられます。しかし、この人たちから言えば、本当の刺激はしばしば自然発生的なもので、刺激的な期間の合い間は、しばしば退屈で怠惰で無感動なものです。興味を開拓することはあまり上手ではないことが多く、新しいことに進むかわりに、過去の体験を再現し続けようとするかもしれません。このサイクルを壊すため、自発性と行動力を触発するような外部の刺激を求めます。このようなある程度の自発性を自分の人生に導入すれば、退屈それから気づいてしまった無意味さは、新しいことを経験でき、自分の頭の中という限界から逃げ出せるような絶え間のない活動状態へと、とってかわられます。
Extroverted sensing – Wikisocion
彼らは加えてとても優柔不断です。特に自分の未来に関わることについて、重要な決断をする能力には欠けているかもしれません。広範で長期的な意味では自分の人生において成し遂げたいことはわかるかもしれませんが、そこへと向かうための短期的な計画をたてて実行に移すことは非常に困難だと気づくことでしょう。行動できるようになるため、しっかりと地に足がついていて、その状況なら何をしなければいけないかというクリアな像を描けるような人から、目に見える明確な刺激を欲しがります。
同上
ILI(批評家)の動員する機能:内向倫理
ILIの動員する機能は、内向倫理(Fi)です。
ILIは人の気持ちを誤解しやすく、相手から好意のサインを投げてもらえると安心します。
お互いの信頼感と理解に基づく安定した人間関係を築き、自分が秘めている深い感情と経験を気軽にわかちあいたいと願っています。しかし、この人たちはそのような関係を築いていく能力に欠けており、他人の方から合図を送ってくれるのを期待し、またそういう人たちにうっとりします。脆弱な機能にFeを持つことに関して、このタイプの人たちが、感情をただ黙って「理解してくれる」ようなパートナーとの絆を、特に価値あるものとみなしているということは強調しておくべきでしょう。
Introverted ethics – Wikisocion
ILI(批評家)のイド
モデルAの4行目を、イドブロックと呼びます。自分の基盤や防衛本能にかかわる機能です。扱いは得意なのですが、大した価値を感じておらず自覚も薄いです。
イドブロックには、無視された機能(第7機能)と証明する機能(第8機能)があります。
ILI(批評家)の無視された機能:外向直観
ILIの無視された機能は、外向直観(Ne)です。
ILIは新しい可能性を見出すのは得意ですが、物事の本質を理解するほうが重要だと考えます。
異なる領域の知識・経験間でつくられる「見かけ」の関連性を理解はしますが、特別な意味を持っており神秘的で目に見えない物事の本質を理解する一助となるような「目に見えない」関連性に焦点を当てたがります。与えられた物事や状況に備わっているポテンシャルをたやすく把握できるのですが、そのような評価に浸るのは自制して、発言の根っこにある見えない過程を理解することに向かいたがります。
Extroverted intuition – Wikisocion
ILI(批評家)の証明する機能:内向論理
ILIの証明する機能は、内向論理(Ti)です。
ILIは論理的な矛盾をよく批判しますが、完全な論理があるとは思いません。
この人たちは、主張と前提を突き崩してそこに論理的な欠陥があることを示しながら、他人の見方を論理的な観点から批判することが多いです。しかし過度に批判しようとはしませんし、現実がきれいな論理で正確に表現できるとも思っていません。
Introverted logic – Wikisocion
まとめ:ILI(批評家)のモデルA
ILIのモデルAは、まとめるとこうなります。