今回は、ソシオニクスを理解する上で重要な8つの要素(情報要素)から、「内向感覚」を解説していきます。「内向感覚」とは、ヒト同士やモノ同士の間の空間的な関係を捉える見方で、衛生観念や美的経験に関係します。
8つの要素の「内向感覚」とは?
8つの要素は、情報要素(information elements)とも言い、それぞれのソシオタイプのものの見方の違いを理解する上でとても重要です。
今回は、「内向感覚(Introverted Sensing)」について解説します!
なお呼び方はさまざまあり、特にネット上の性格類型ファンコミュニティでは、MBTIと揃えて「Si」と呼ぶことが多いです。
内向感覚とは?
Siは、ヒト同士やモノ同士、あるいはヒトとモノとの間の空間的な関係にかかわっています。お互いがお互いの置かれた場所を守るとき、そこに一定のハーモニーが生じます。そのハーモニーを理解したり作り出したりするのが内向感覚のはたらきです。
こういう頭の使い方・考え方をするときは、あなたの中の内向感覚がはたらいているときです!
内向感覚のキーワード
恒常性、連続性、平穏さ、流れ、満足、美学、生活の質、喜び、くつろぎ、便利さ、質
内向感覚のシンボルマーク
内向感覚のシンボルマークは、白抜きの円(○)です。円は現実の完全性を、白抜きは「主体の内部の空間」=「内向」をあらわします。
内向感覚のバリエーション
内向感覚の強弱
どのタイプも内向感覚を通した見方・考え方をします。ただしそれを得意とするタイプと、苦手とするタイプがいます。得意か苦手かは、当ブログでは強弱であらわし、以下のようになります:
内向感覚の強さ | タイプ |
---|---|
★★★★(強い) | 内向×感覚型(SEI、LSI、ESI、SLI) |
★★★☆(やや強い) | 外向×感覚型(ESE、SLE、SEE、LSE) |
★★☆☆(やや弱い) | 内向×直観型(LII、IEI、ILI、EII) |
★☆☆☆(弱い) | 外向×直観型(ILE、EIE、LIE、IEE) |
内向感覚が強いタイプ(例:SEI)は、身の回りを心地よく整えたり、置かれた環境にうまく適応したりできます。逆に内向感覚が弱いタイプ(例:EIE)は、体の異変を見過ごしたり波風を立てたりして叱られた経験があるかもしれません。
モデルA×内向感覚
さらに詳しく。各タイプが内向感覚をどのように使っているかは、モデルAの8つの機能のうち、どこに内向感覚があるかで決まります。
モデルAは、ソシオニクス創始者のアウシュラ・アウグスティナヴィチューテさんが発明したモデルです。このおかげで各タイプの性格の違いや、考え方のプロセスをシステマチックに考えることができます。
表にまとめるとこの通りです:
自我ブロック×内向感覚
モデルAの1行目は自我ブロックです。そのタイプの個性やアイデンティティをあらわす部分です。自分でも上手に扱うことができ、価値を感じており、意識しています。
自我ブロックには、主導する機能(第1機能)と創造する機能(第2機能)があります。
主導する機能×内向感覚:SEIとSLI
主導する機能×内向感覚は、SEIとSLIです。
自分や他者の身体の状態を見分けたり、どうするとこのような状態に至るのかを理解したり、これらの身体の状態を再現したり回避したりする能力にたけています。
内向感覚を主導する機能に持つ人は、自分の身体的な経験を満足させる状況に惹かれます。身体の状態の認識、再現、分析に関わることに参加しているときはいつも、パワーに満ち情熱に溢れています。
不快からの回避は、このタイプの持つ主要な動機付けの1つです。ピリピリした空気、過労による体力消耗、他の人やたくさんの「やるべきこと」から感じるプレッシャー、そして満たされなかったり満たされすぎたりする身体的な欲求から、内的な不快感が生じます。このタイプの人たちは、不快感が生じるとすぐさま気がつき、そしてそのことについて非常にうるさく主張します。そして、賢い方法によって不快感を消し去るか、あるいは単純に悩みの種となるものから逃亡します。自分と不快感を共有する他者には、大いに理解を示します。そして、そのような他者のストレスを軽減する手助けをしたり、良い解決策を提案したりします。
内向感覚を主導する機能に持つこのタイプは、自分がいる環境(自分の周りにいる人々を含めて)に絶えず自分を適応させており、当該の状況における要求に対して何が「適切」なのか、固定的な意見をもつことは滅多にありません。したがって、彼らは他者の要求には喜んで即興でこたえようとします。根拠なんて「しっくりくるから」で十分なのです。このようなふるまいは、内向直観が弱いということも相俟って、見ている側からすると行き当たりばったりにうつるかもしれません。
Introverted sensing – Wikisocion
SEIとSLIは、身体的な状態とそこに至る過程をよく覚えています。たとえばどういうことをすると疲れるのか?どうすれば気分があがるのか?などです。それによって、どんな状況であったとしても、自分や他人にとって居心地よい状態を、即興で作り出すことができます。
創造する機能×内向感覚:ESEとLSE
創造する機能×内向感覚は、ESEとLSEです。
創造する機能に内向感覚を持つこのタイプは、人々を穏やかな気分にさせたり楽しませたりする計画を立てるのが元々得意です。しかし、自然とそういうことをしているというよりは、個々の場面で必要性が生じたときにそういうふるまいや技術を発揮するというのが常です。主導する機能に内向感覚を持つSEIとSLIとは違って、いつも穏やかで安定していることを重要視してはいません。
Introverted sensing – Wikisocion
SEIとSLIの2タイプがいつも自他の体調を気にかけるのに対し、ESEとLSEが体調を気にかけるのは「必要があるとき」に限られます。
この人たちは人の趣味や好みに調子を合わせ、何かしてあげたりプレゼントをあげたりすることで友達や家族を喜ばせるのが好きです。たとえば、整理整頓や掃除をして家の中を快適にするとか、楽しいところへ連れて行くとか、あるいは趣味を追求できるような機会や人を見つけてあげるということをします。
同上
人を喜ばせるために動くことが好きです。たとえば身近な人が「紅茶に興味がある」と話すのを聞いた翌日には、プレゼントを探しにデパ地下の紅茶屋に立ち寄っている…なんてこともあるかもしれません。
超自我ブロック×内向感覚
モデルAの2行目を超自我ブロックと言います。義務感や社会規範にかかわります。価値を感じないし苦手意識が強いですが、見栄を張ったり褒められたがったりします。
超自我ブロックには、規範の機能(第3機能)と脆弱な機能(第4機能)があります。
規範の機能×内向感覚:IEIとILI
規範の機能×内向感覚は、IEIとILIです。
くつろぎだの楽しみだのそれをもたらしてくれる娯楽活動だのの必要性を他人に強調されるのを嫌がります。なぜなら、内心はまったく逆のことを求めているからです。つまり、彼らが求めているものとは、行動力と決断力なのです。「自分の身体が何を言っているかに耳を傾け」るための時間を費やすよりもむしろ、外部からはっきりと要求されることで、不安と躊躇という自分の感覚に打ち勝つ必要があります。
Introverted sensing – Wikisocion
IEIとILIは、自分の体調に気づいたり整えたりすることに苦手意識があります。楽しみは、あくまで自分がきちんと行動・決断できるようにするための手段にすぎず、遊びに時間を費やすことを無駄と考えがちです。
脆弱な機能×内向感覚:EIEとLIE
脆弱な機能×内向感覚は、EIEとLIEです。
脆弱な機能にSiを持つこのタイプは、Siの効果を気にしないし、Si的な視点は自分の目的達成には全然重要ではないというふうに考える傾向があります。遠くのことや長期的な思考と比べると、身体のこと、身近なこと、今ここのことの優先度は低くなります。典型的な特徴として、細部に宿る美への無関心さが挙げられます。というのは、長期的な視点で見たときに、細部を気にしていたらきりがないという意見に焦点があてられるからなのです。また、身の周りのことや自分の身体的な感覚にも疎く、自分が扱う必要のない物がどこにあるのかがよくわからないということがあります。
細部の美への無関心さは、LIEのほうが特に顕著です。EIEの場合だと、書類を書いたりサインをしたり、確定申告をしたりという低レベルな事務作業への嫌悪として脆弱なSiが現れます。
Introverted sensing – Wikisocion
身の回りのことについてはかなり無頓着で、体調や環境の変化に気づきにくいです。細部にこだわりたがらず、自分の大きな目標にどういう影響があるかもあまり考えません。
脆弱なSiを持つこのタイプは、そもそもSi的な見方をどうでもいいと思っているので、この機能に関わる思いもよらない問題、新たな問題、あるいは見過ごされた問題のせいで、道を外れてしまうことが多いです。
同上
身の回りのことへの無頓着さが、大問題に発展することがあります。たとえば、体のちょっとした違和感を無視して大きな病気につながるような場合です。
超イドブロック×内向感覚
モデルAの3行目を、超イドブロックと言います。無意識で苦手だけれども価値を感じていることなので、何でも鵜呑みにしたり人任せにしたりしやすい部分で、自分の望みや自己実現にかかわります。
超イドブロックには、暗示される機能(第5機能)と動員する機能(第6機能)があります。
暗示される機能×内向感覚:ILEとIEE
暗示される機能×内向感覚は、ILEとIEEです。
生理学的な感覚、本当の欲求とバランスがとれている・結びついている感覚を含めて、自分の身体的な経過については慢性的に無自覚になりがちです。時々、独特な好み・嗜好を持っていることがありますが、それを自分では理解できなかったり満たせなかったりします。
Introverted sensing – Wikisocion
ILEとIEEも、自分の体調にはとても疎く、自分の欲求を満たせないことがあります。疲れていても気づかず動いてしまったり、食べたいものがわからなかったりします。
自分の魅力やセクシュアリティを大っぴらに強調することはまずありえません。しかし、少なくとも、信頼できる雰囲気の下で、自分の魅力やセクシュアリティを伸ばし高めてくれる信頼できる友達やパートナーとの小さな輪の中で、そういう感覚を満足させることを夢見ています。
同上
自分では色気を押し出すようなことはしませんが、セクシーな人にはあこがれます。親しい人が、自分の女/男らしいセクシーさを引き出してくれたらいいのにと期待しがちです。
動員する機能×内向感覚:LIIとEII
動員する機能×内向感覚は、LIIとEIIです。
この人たちは、他人に楽しい感覚的な体験をさせてあげたり自分がそうしたりすることは苦手ですが、楽しいことについて話すのは好きで、それを聞いた誰かがヒントをくれたり誘ってくれたりしたらいいなと思っています。
Introverted sensing – Wikisocion
自分や他人を楽しませてあげることは苦手なほうですが、楽しいことは大好きです。他の人が、ヒントやお誘いというアシストをくれたらいいと思います。
定期的に緊張したり不安になったりしやすいのですが、基本的にはそういう嫌な感覚を自力で解消することができません。誰かにリラックスさせてもらうか、自分がしていることは本当に自分が必要としていることなのか、本当にそれを楽しいと思えているのか、そしてこの緊張の原因は何だったのかについて、誰かに内なる目で見てもらうかしなければいけません。
彼らはこの領域では極端に走りがちで、不健康なまでに感覚を失わせるか、逆に不健康なほど感覚を甘やかします。
同上
緊張や不安などの不快感を感じやすく、極端に我慢していることがあります。他人がリラックスさせてくれるといいなと思います。逆に自分を過度に甘やかすこともあります。
イドブロック×内向感覚
モデルAの4行目を、イドブロックと呼びます。自分の基盤や防衛本能にかかわる機能です。扱いは得意なのですが、大した価値を感じておらず自覚も薄いです。
イドブロックには、無視された機能(第7機能)と証明する機能(第8機能)があります。
無視された機能×内向感覚:SLEとSEE
無視された機能×内向感覚は、SLEとSEEです。
自分の身体の状態と自分の感覚の質については申し分なく評価できますが、体験したり世界と関わったりといった外へと向かう活動のほうが優先です。外の世界でやるべきことがあるというのに、頑なに心の平和や安定に注目する人たちを見るともどかしくなります。このタイプ曰く、自分の感覚を探究することは、自分のプライベートな時間でやるべきことであり、公共の場では、最初からすべてを量り分けるのではなく、その場の状況に接したり溶け込んだり、あるいは舵をとったりする覚悟をしておくべきなのです。
Introverted sensing – Wikisocion
自分の体調や感覚には敏感ですが、あえて無視したがります。自分の外側の世界に目を向けたいからです。自分の平穏を優先して、とるべき行動をとらない人にはイライラします。
証明する機能×内向感覚:LSIとESI
証明する機能×内向感覚は、LSIとESIです。
自分や他人の体調や幸福、美的感覚、そして、良い食べ物やくつろげる状況といった感覚刺激のもたらす内的な影響、に気づいたり評価したりする能力には自信があります。促されれば説得力のある評価を与えることはできますが、息抜き・リラックスや、それについて話すことは、人生の優先事項というよりはむしろ楽しみの源だと見なしています。この領域においては全面的な自信があるにも関わらず、そんなに深刻なものとしてリラックスを扱わないし、そこまで頻繁にリラックスを自分に許しているわけではありません。体調や幸福に注意を向けることをあえて選ぶときは、外向感覚的なアプローチを好むことがほとんどで、自分にも他人にも、厳しく骨の折れるような食事制限や運動を課します。
Introverted sensing – Wikisocion
自分や他人の体調を整えたり欲求を満たしたりすることには全面的に自信がありますが、それはあくまで「娯楽」です。体調や幸福を真面目に考えるときは、むしろ厳しいダイエットや激しい運動を選びます。
自分の内向感覚をチェック!
質問に答えてみよう!
自分は内向感覚をどれくらい使っているかセルフチェックしてみるのも楽しいですよ。以下はYermak(School of Systemic Socionicsの設立者)の質問集を訳したものです。ぜひセルフチェックに活用してみてください。
Анкетирование и требование к вопросам | School of System Socionics
- 美とはなんでしょうか? あなたの美の表現は変化しますか? あなたの美の理解は、一般に受け入れられている美の理解とどれくらい一致しますか? こうした理解においてどこらへんが一般的に受け入れられているものを逸脱していますか?
- あなたは、美を理解する仕方は誰でも共通だと考えますか? どんなものが正統な美であると言えるでしょうか?
- あなたは、どのように家の中を便利で快適にしていますか? あなたのその便利さや快適さを作る能力について、他の人からはどう評価されますか? あなたはその評価に同意しますか?
- あなたは服をどのように選んでいますか? 流行は追いかけますか? それはなぜ? あなたは、「この体型ならあれを着るべき」という理解をどうやってしていますか?
- なんらかの空間(例えば部屋)をあなたがどうやってデザインしたか、教えてくれませんか? 自分でやりますか? それとも他の人に任せますか? それはなぜ?
おまけ:管理人の回答
管理人IEIの回答(一部)を挙げておきます。自分で回答したあと、見比べてみると新たな発見があるかもしれませんね。
なおIEIの場合、内向感覚は規範の機能。やや弱い機能で、価値を感じていない機能です。自分のどの機能に内向感覚があるかによって、以下の管理人の回答の受け取り方は異なるはずです!
美とはなんでしょうか? あなたの美の表現は変化しますか? あなたの美の理解は、一般に受け入れられている美の理解とどれくらい一致しますか? こうした理解においてどこらへんが一般的に受け入れられているものを逸脱していますか?
美…、すべての嫌なことから解放させてくれるもの。美しいもの(絵、服、風景など)がふと目に入ると、「わ…美し…」って一瞬時が止まって、心身の緊張がほどけるような感じがする。逆を言えば、人のイヤな部分ばかり目についたり、生きてる意味とか考え始めたりするときほど、生活に美が足りていないときなんだよなぁ~~…といつも反省してはいる。
美の表現、気分のムラが反映されがち。変化しているというよりは、安定していない…。ファッションで言えば、気分が悪いときほどテキトーになるし、あと好きな系統も買う基準もコロコロ変わってしまうので、クローゼットの統一感がない。
美の理解は、独特な感性はないし、かなり普通じゃないかなぁ。派手めが好きだけど、それは好みの範囲内で、逸脱しているってほどではない。ダサい方向へ逸脱しているということはあるかもしれないけど…。
あなたは、どのように家の中を便利で快適にしていますか? あなたのその便利さや快適さを作る能力について、他の人からはどう評価されますか? あなたはその評価に同意しますか?
まず、物を減らす。掃除しにくいもの(例:こたつ)、私をだらけさせるもの(例:こたつ)は持たない。食材も腐らせたくないので、日持ちする乾物や冷凍可能なもの以外は極力買わない。次に、物の置き場所のルールを、自分の「理想」の動きに合わせて設定する。家でも作業したいから、デスク最優先でその他の家具の位置を決めるとか。億劫になりやすい掃除の道具は取りやすい場所に置くとか。あとは、便利グッズを雑誌で探すこともよくある。洗剤の類はストック多めに持っておく方。
他人からの評価…褒められたこと一度もありません…。友人曰く「綾波レイの部屋みたい」だそうです(おググりください)。同意せざるを得ない。「理想のお部屋」に対する執念がやけに強い自覚があるけど、うまくいったためしはないなぁ…。
あなたは服をどのように選んでいますか? 流行は追いかけますか? それはなぜ? あなたは、「この体型ならあれを着るべき」という理解をどうやってしていますか?
色やデザインは好みがコロコロ変わってしまうから、イメコンに頼って安定をはかっている。あとは経験上わかった苦手な形状の服、洗濯機で洗えない服、繊細な取扱いが必要な服は買わない。流行はそこまで追いかけていないけど、単純接触効果ってやつなのか、結局は流行り物を買っている。理解は、イメコンで得た知識を使ってでしかない。他人の服が似合っているかどうかも、よっぽど変だったりおしゃれだったりしない限りは自信がないかも。何度も会ってる人だったら「今日の服、なんかいい感じ!」くらいのことはわかるかもしれない。
「何を聞かれているのかまるでわからん」ってほどではないと思うんですが、レベルの低いことしか言える気がしません。「経験上こうだ」と「理論(※イメコン)によるとこうだ」だけで判断するのは、規範の機能(や動員する機能)らしい部分かなと思います。あとはお部屋の話のときに出てくる「理想」という言葉も、「かくあるべし」の規範の機能っぽさありますね。