ソシオニクスにはモデルAという考え方があり、ソシオニクスのタイプ(ソシオタイプ)を理論的に理解するのに役立ちます。今回は、ソシオタイプの1つであるESE(熱狂者)のモデルAを紹介します。
ソシオタイプESEの「モデルA」とは?
ESEは、MBTIのタイプESFJとおおよそ対応するタイプ(※諸説あります)で、Ethical-Sensory-Extravert(倫理-感覚-外向型)の略です。
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モデルAは、ソシオニクス創始者のアウシュラ・アウグスティナヴィチューテさんが発明したモデルです。このおかげで各タイプの性格の違いや、考え方のプロセスをシステマチックに考えることができます。
ESEのモデルAは、以下の図のようにあらわします。
ESE(熱狂者)の自我
モデルAの1行目は自我ブロックです。そのタイプの個性やアイデンティティをあらわす部分です。自分でも上手に扱うことができ、価値を感じており、意識しています。
自我ブロックには、主導する機能(第1機能)と創造する機能(第2機能)があります。
ESE(熱狂者)の主導する機能:外向倫理
ESEの主導する機能は、外向倫理(Fe)です。
ESEは、つねに雰囲気を読んで行動し、人のやる気や元気を掻き立てます。
主導するFeを持つこのタイプは、常に周囲の雰囲気に合わせ、雰囲気に自発的・直接的に反応します。人々が自身のしていることに打ち込めるような活動を探し出し、作り上げます。ものの価値は、それが自分や他人の情熱をどれだけ沸き起こすかと直接に結び付いています。
このタイプの人は、自分が理想的だと思った方向に雰囲気をどんどん進めようとします。たとえば、みんながあまりにも鬱々としていると思ったら冗談を言って元気を出させようとするし、逆に、危機的状況なのにみんながあまりにものんきにしていたら真剣に集中してもらおうとするかもしれません。それでも、感情はできる限りありのままに表現されるべきだと信じています。
Extroverted ethics – Wikisocion
ESE(熱狂者)の創造する機能:内向感覚
ESEの創造する機能は、内向感覚(Si)です。
ESEは穏やかで、気配り上手です。それによって、人をリラックスさせることができます。
創造する機能に内向感覚を持つこのタイプは、人々を穏やかな気分にさせたり楽しませたりする計画を立てるのが元々得意です。しかし、自然とそういうことをしているというよりは、個々の場面で必要性が生じたときにそういうふるまいや技術を発揮するというのが常です。主導する機能に内向感覚を持つSEIとSLIとは違って、いつも穏やかで安定していることを重要視してはいません。
Introverted sensing – Wikisocion
この人たちは人の趣味や好みに調子を合わせ、何かしてあげたりプレゼントをあげたりすることで友達や家族を喜ばせるのが好きです。たとえば、整理整頓や掃除をして家の中を快適にするとか、楽しいところへ連れて行くとか、あるいは趣味を追求できるような機会や人を見つけてあげるということをします。
同上
ESE(熱狂者)の超自我
モデルAの2行目を超自我ブロックと言います。義務感や社会規範にかかわります。価値を感じないし苦手意識が強いですが、見栄を張ったり褒められたがったりします。
超自我ブロックには、規範の機能(第3機能)と脆弱な機能(第4機能)があります。
ESE(熱狂者)の規範の機能:外向論理
ESEの規範の機能は、外向論理(Te)です。
ESEは、自分を「有能な人」のように見せようと努力します。
効率的で生産的で聡明な人に見えなければいけないとして努力するのが特徴的ですが、主導するFeが決めた優先事項と衝突しない場合のみです。たとえば、もっとも効率的なやり方ではなかったとしても、自分が目指している雰囲気(例:敵意がないことを示せるような雰囲気)を生み出したり維持したりするのにもっとも望ましいやり方と判断すれば、それに決めてしまうかもしれません。
Extroverted logic – Wikisocion
ESE(熱狂者)の脆弱な機能:内向直観
ESEの脆弱な機能は、内向直観(Ni)です。
ESEは、時間が足らなくなる恐怖を、一生懸命乗り越えてきた人です。
脆弱なNiを持つこのタイプは、今の流れの行きつく先を見積もろうとするよりはむしろ、物事をあるがままに受け止め、目の前のタスクに焦点を当てることを好みます。どうしてそうなるのかの輪郭を描くより、結果的にどうなったのかをベースに話をします。
Introverted intuition – Wikisocion
この人たちは、時間を未分化なものと捉えています。つまり、過去、今、そして未来はすべて今の一部か今に近いものとして見なしています。未来について語るときには、特に長期的な計画を立てるときに顕著ですが、あたかも未来を今日達成できることのように扱います。まず必要になってくる進歩というものについては、無自覚であることが多いです。
同上
基本的に、物事にどれくらい時間がかかるかとか、どれくらいの時間をかけるのがいいのかなどの感覚に乏しいです。そのため、この人たちにとって、予め完璧なまでに計画を練ることなくしてスケジュールを遂行するのは難しいことです。
同上
ESE(熱狂者)の超イド
モデルAの3行目を、超イドブロックと言います。無意識で苦手だけれども価値を感じていることなので、何でも鵜呑みにしたり人任せにしたりしやすい部分で、自分の望みや自己実現にかかわります。
超イドブロックには、暗示される機能(第5機能)と動員する機能(第6機能)があります。
ESE(熱狂者)の暗示される機能:内向論理
ESEの暗示される機能は、内向論理(Ti)です。
ESEはシステマチックに考えられる人に憧れます。そういう人が周りにいると、冷静になれます。そうでないときは、自分の混乱を誰か・何かのせいにします。
体系立てて物事を見ることが得意な人々を大いに尊敬します。直接には関係しない背景知識をたくさん持っていることよりも、概念を明確で簡潔に説明できることを特に好みます。自分の行動が意味のあるものであってほしいと思っているので、行動の背後にある概念的な理解が正しいことを誰かに保証してもらう必要があります。確証が得られない場合には、混乱して、まったく理性的に動くことができなくなってしまいます。
Introverted logic – Wikisocion
ESE(熱狂者)の動員する機能:外向直観
ESEの動員する機能は、外向直観(Ne)です。
ESEは思い詰めやすく、誰かに面白いアイディアを教えてもらえると安心します。
たとえ現時点で実用化できるようなものでなくとも、アイディアや想像力に富んだ人々や、そういうものに「世界の向こう側」で起こっている出来事を結び付けていく人々を、非常に高く評価します。自分が今現在取り組んでいることをより良いものとするために、洞察や型にはまらない分析を提供してくれる人々はなおのことありがたく思います。
Extroverted intuition – Wikisocion
ESE(熱狂者)のイド
モデルAの4行目を、イドブロックと呼びます。自分の基盤や防衛本能にかかわる機能です。扱いは得意なのですが、大した価値を感じておらず自覚も薄いです。
イドブロックには、無視された機能(第7機能)と証明する機能(第8機能)があります。
ESE(熱狂者)の無視された機能:内向倫理
ESEの無視された機能は、内向倫理(Fi)です。
ESEは信頼関係を築くのは得意ですが、良い雰囲気を作るほうを優先します。
この無視されたFiは、関係の格付けを反映した合図を、感情表現という形で送り合わないくせに、2人が深い絆で結ばれているなんて状態はありえないという懐疑心や、そういった関係を固めてしまうことへの抵抗感として表されます。たとえば、はっきりとお互いに愛情を表現せず、むしろ人前で感情を抑制し続けているようなカップルを見たら、このタイプは、「愛がない」あるいは生ぬるい関係だと見なそうとするでしょう。
Introverted ethics – Wikisocion
このタイプは、人が別の人に抱いている個人的な感情について議論したり探究していったりすることを、理解はできます。しかし、こうした議論や探究は、同じ状況下で人の感情がどのような状態なのかに焦点を合わせることに比べると、あまり面白くないし無意味なことだと思います。
同上
ESE(熱狂者)の証明する機能:外向感覚
ESEの証明する機能は、外向感覚(Se)です。
ESEは強い意志を貫くことはとても得意ですが、重要なこととは思っていません。
説得力がある堂々とした態度をとったり、頑固になったり、あるいは挑戦的な態度を見せたり、敵対したり、ということはできますが、それも短い間で、本人としてもその態度をあまり深刻に捉えているわけではありません。ショーやゲームのようなものなのです。
Extroverted sensing – Wikisocion
まとめ:ESE(熱狂者)のモデルA
ESEのモデルAは、まとめるとこうなります。