今回は、ソシオニクスを理解する上で重要な8つの要素(情報要素)から、「内向直観」を解説していきます。「内向直観」とは、出来事と出来事の間の時間上の関係を捉える見方で、結果の予測やタイミングの把握などに役立ちます。
8つの要素の「内向直観」とは?
8つの要素は、情報要素(information elements)とも言い、それぞれのソシオタイプのものの見方の違いを理解する上でとても重要です。
今回は、「内向直観(Introverted Intuition)」について解説します!
なお呼び方はさまざまあり、特にネット上の性格類型ファンコミュニティでは、MBTIと揃えて「Ni」と呼ぶことが多いです。
内向直観とは?
Niは、出来事と出来事の時間上の関係にかかわっています。時代が動くときには、出来事と出来事の間に一定のリズムが生じています。そのリズムを理解したり作り出したりするのが内向直観のはたらきです。
こういう頭の使い方・考え方をするときは、あなたの中の内向直観がはたらいているときです!
内向直観のキーワード
時を超えた発展、歴史性、因果、結果、反復、典型的な主題と例、歴史や過去に原因を探すこと、現象の通時的な予測、リズム、後でやるか今やるか、過去を振り返る想像力
内向直観のシンボルマーク
内向直観のシンボルマークは、白抜きの三角形(△)です。三角形は現実を突く洞察の鋭さを、白抜きは「主体の内部の空間」=「内向」をあらわします。
内向直観のバリエーション
内向直観の強弱
どのタイプも内向直観を通した見方・考え方をします。ただしそれを得意とするタイプと、苦手とするタイプがいます。得意か苦手かは、当ブログでは強弱であらわし、以下のようになります:
内向直観の強さ | タイプ |
---|---|
★★★★(強い) | 内向×直観型(LII、IEI、ILI、EII) |
★★★☆(やや強い) | 外向×直観型(ILE、EIE、LIE、IEE) |
★★☆☆(やや弱い) | 内向×感覚型(SEI、LSI、ESI、SLI) |
★☆☆☆(弱い) | 外向×感覚型(ESE、SLE、SEE、LSE) |
内向直観が強いタイプ(例:ILI)は、過去の膨大な記憶を参照して、かなり正確に未来を「予言」するでしょう。逆に内向直観が弱いタイプ(例:LSE)は、行動のタイミングを掴んだり結果を予測したりするのに苦労した経験があるかもしれません。
モデルA×内向直観
さらに詳しく。各タイプが内向直観をどのように使っているかは、モデルAの8つの機能のうち、どこに内向直観があるかで決まります。
モデルAは、ソシオニクス創始者のアウシュラ・アウグスティナヴィチューテさんが発明したモデルです。このおかげで各タイプの性格の違いや、考え方のプロセスをシステマチックに考えることができます。
表にまとめるとこの通りです:
自我ブロック×内向直観
モデルAの1行目は自我ブロックです。そのタイプの個性やアイデンティティをあらわす部分です。自分でも上手に扱うことができ、価値を感じており、意識しています。
自我ブロックには、主導する機能(第1機能)と創造する機能(第2機能)があります。
主導する機能×内向直観:IEIとILI
主導する機能×内向直観は、IEIとILIです。彼らにとって、因果関係を把握したり未来を予測したりすることは、自分のアイデンティティと密接に関係しています。
主導するNiは、周りの世界を直視しないときや、世俗的な出来事から自分が解放されていて遊離していると感じるときに一般にあらわれます。このために、彼らは非常に発達した想像力を持ち、そして独特な精神世界を築いていることがあります。しかし同時にひどい怠惰や無気力に陥ることもあります。彼らは想像力を使って世界を理解するので、データや経験が足りない状況でも切り抜けられるかもしれません。ただし、想像力を過信して実際のデータを無視しすぎてしまえば短所にもなります。時間を超越して因果関係を把握する能力もNiの特徴です。この能力は、今後の大まかな流れとその結果を正確に予測する能力へとつながることがあります。
Introverted intuition – Wikisocion
現実に生きていないのに、まさにその現実に生きていないこと(想像力)によって現実を切り抜けてしまえる。これはIEIとILIにしかなせない技です。
創造する機能×内向直観:EIEとLIE
創造する機能×内向直観は、EIEとLIEです。未来を予測するのが得意です。
このタイプは、自分が興味を持っている状況やテーマがこの先どう発展していくのかについて予測することが好きです。洞察力が非常に優れていますが、それ自体は目的ではなく、自分のより中心的な興味や活動の発展を促すための手段として、洞察を行います。
Introverted intuition – Wikisocion
IEIとILIとは違い、この2タイプは、あくまで予測のことを、自分の興味のあるテーマについて深めるための「手段」として捉えています。
超自我ブロック×内向直観
モデルAの2行目を超自我ブロックと言います。義務感や社会規範にかかわります。価値を感じないし苦手意識が強いですが、見栄を張ったり褒められたがったりします。
超自我ブロックには、規範の機能(第3機能)と脆弱な機能(第4機能)があります。
規範の機能×内向直観:SEIとSLI
規範の機能×内向直観は、SEIとSLIです。内向直観に対して苦手意識を感じています。
長期的な影響と想像力に注意を向けることはできますが、長くは続きません。それは本来的に、目の前の環境や感覚、あるいは手近の仕事に集中することを好むからです。この規範のNiが未発達の場合は、なぜそうするのかという理由を検討できないまま大規模な将来設計を立てることがあります。
Introverted intuition – Wikisocion
将来について想像したり、長期的な影響を予測したりすることがあまり好きではありません。「計画」を立てて行動していても、その「計画」には特に必然性がない場合があります。
脆弱な機能×内向直観:ESEとLSE
脆弱な機能×内向直観は、ESEとLSEです。内向直観にはもっとも自信がありません。
脆弱なNiを持つこのタイプは、今の流れの行きつく先を見積もろうとするよりはむしろ、物事をあるがままに受け止め、目の前のタスクに焦点を当てることを好みます。どうしてそうなるのかの輪郭を描くより、結果的にどうなったのかをベースに話をします。
Introverted intuition – Wikisocion
先の未来を予測したり、どうしてそうなるのかという因果関係を把握したりするよりも、目の前のことに注目したがります。
この人たちは、時間を未分化なものと捉えています。つまり、過去、今、そして未来はすべて今の一部か今に近いものとして見なしています。未来について語るときには、特に長期的な計画を立てるときに顕著ですが、あたかも未来を今日達成できることのように扱います。まず必要になってくる進歩というものについては、無自覚であることが多いです。
同上
ESEとLSEは、過去と今と未来を区別せず、全部「今」のように考えます。そのため、過去に原因を求めたり、未来を予測したりすることはほとんどせず、目標達成のためにどれだけの進歩が必要になるかを見落としがちです。
基本的に、物事にどれくらい時間がかかるかとか、どれくらいの時間をかけるのがいいのかなどの感覚に乏しいです。そのため、この人たちにとって、予め完璧なまでに計画を練ることなくしてスケジュールを遂行するのは難しいことです。
同上
さらに、どれだけの時間をかければよいかに疎く、「間に合わない」ことへの不安が強いです。SEIとSLIと似て、ESEとLSEはしばしば綿密な「計画」を立ててその通りに行動しますが、これはこうした希薄な時間感覚を埋め合わせるために行われています。
超イドブロック×内向直観
モデルAの3行目を、超イドブロックと言います。無意識で苦手だけれども価値を感じていることなので、何でも鵜呑みにしたり人任せにしたりしやすい部分で、自分の望みや自己実現にかかわります。
超イドブロックには、暗示される機能(第5機能)と動員する機能(第6機能)があります。
暗示される機能×内向直観:SLEとSEE
暗示される機能×内向直観は、SLEとSEEです。内向直観に対しては憧れを抱いています。
現在の流れが行き着く先を予測したり、行動を起こすか起こすまいかのタイミングを見計らったりする能力に自信のある人を魅力的だと思います。このタイプは衝動的ですが同時に衝動に任せすぎないようにもしたいのです。しかしその手の能力には自信がないので、だからこそ、どこまでやるべきなのかとか、いつやめるべきなのかなど、引き際をよくわかっている人々には畏敬の念を抱き、仲良くなりたいと強く思います。
Introverted intuition – Wikisocion
ESEとLSE同様、先を予測して動くことはほとんどせず、衝動に任せて行動しがちです。衝動に振り回されずにじっと未来を待つことができる人を尊敬します。
また、自分の人生に、身体を超えた素晴らしい意味を感じたいと強く思っており、自分に生の輝きを見せてくれる人との関わりを楽しみます。
同上
未来を見据えて動くとき、SLEとSEEは自分の人生に特別な意味を感じることができます。
動員する機能×内向直観:LSIとESI
動員する機能×内向直観は、LSIとESIです。人に未来の予測を伝えてもらいたいと思います。
杞憂から逃れるためには、状況がどうなっていくのかについて定期的に他者の見解を得なければなりません。急がなくても間に合うとか、進行中だから取りかかる必要はないとか、今は黙って見ているのが吉だとかいうふうに人から安心させてもらえないと、不安でたまらなくなり、そのような問題にすぐさまそして時には衝動にまかせて取りかかろうとします。
Introverted intuition – Wikisocion
自分でも先を見通して動こうとはするのですが、将来への不安から、いてもたってもいられず衝動的な行動をとりがちです。人生の意味を見出したいというよりは、安心したいという目的で、未来のことを聞きたがります。
イドブロック×内向直観
モデルAの4行目を、イドブロックと呼びます。自分の基盤や防衛本能にかかわる機能です。扱いは得意なのですが、大した価値を感じておらず自覚も薄いです。
イドブロックには、無視された機能(第7機能)と証明する機能(第8機能)があります。
無視された機能×内向直観:ILEとIEE
無視された機能×内向直観は、ILEとIEEです。未来の予測や因果関係の把握を容易に行いますが、それ以上に大切なことがあると考えます。
今から未来へと続く流れとそこに潜む連関に注目した議論や、個人的な意味を追い、具体的な想像を伴う1つのビジョンを探究していく議論については、徹底的に理解することができます。しかし、数少ない具体的なビジョンや流れに集中するよりも、現在という地点から多くの可能性を探究することのほうを好みます。
Introverted intuition – Wikisocion
1つのビジョンに縛られることを好みません。いろいろな可能性を残しておきたがります。
証明する機能×内向直観:LIIとEII
証明する機能×内向直観は、LIIとEIIです。
現状が将来的にどう発展するかについての議論を難なく理解し、やりたいと思えばそういう議論に貢献することも容易にできます。しかし、今自分が興味をもっている領域における可能性を追究することに比べれば、大したことではないと感じます。この人たちは、自分が信仰したいと思えるような、そして余暇活動として取り組みたいと思うかもしれないようなごく一部の特定の宗教に関係していない限り、超自然的な主張は馬鹿げているとか甘い考えであるとして棄却するのがふつうです。
Introverted intuition – Wikisocion
ILEとIEEよりもさらに、未来を予測したり因果関係を把握したりすることを当たり前に行っています。しかしそうした見解は「超自然的」でくだらないことだとも思っています。
自分の内向直観をチェック!
質問に答えてみよう!
自分は内向直観をどれくらい使っているかセルフチェックしてみるのも楽しいですよ。以下はYermak(School of Systemic Socionicsの設立者)の質問集を訳したものです。ぜひセルフチェックに活用してみてください。
Анкетирование и требование к вопросам | School of System Socionics,
- 人々がどう変わっていくか語ってください。この変化についてあなたはどう考えますか? 他の人たちはこの変化に気づいていますか?
- 時間とは何でしょうか? あなたは時間をどう感じ取りますか? 時間を無駄にできますか?
- 予測する際に外部の助けを求めたくなりますか? このような予測を信じますか?
- あなたは遅刻しますか? 他の人の遅刻についてどのように感じますか?
- 「自分の人生における運命の影響」について論じてください。
おまけ:管理人の回答
管理人IEIの回答(一部)を挙げておきます。自分で回答したあと、見比べてみると新たな発見があるかもしれませんね。
なおIEIの場合、内向直観は主導する機能。強い機能で、価値を感じている機能です。自分のどの機能に内向直観があるかによって、以下の管理人の回答の受け取り方は異なるはずです!
人々がどう変わっていくか語ってください。この変化についてあなたはどう考えますか? 他の人たちはこの変化に気づいていますか?
どう…。似たような失敗を繰り返し続けながら…みたいな? おんなじようなことでやらかして、おんなじようなことで怒られる。「生まれ変わるぞ!」ともがけばもがくほど、昨日とさほど変わらない自分がそこにいるだけだと気づかされる。
実際は全く同じ失敗はない。少しずつ螺旋状に変わっている。でも、がむしゃらに変わろうとするときほど、変わっていることに気づかない。道を進むことに必死になれば、景色が変わっていることに気づかない。自分の変化に気づくには、一旦立ち止まるしかない。足元にくぎ付けになっている目線を持ち上げて、景色を見渡してみる。歩いてきた道を振り返ってみる。そうしてはじめて「いつの間にこんなところまで進んでいたのか」と気づく。なんかそんなもんだと思う。
あとは変化の螺旋はいびつな形をしているなあとも思う。変化を起こすのには力が必要だけど、力の加わり方はいつも一定ではないから。力には、外からの力と内からの力がある。環境の力と、自分の方の環境を抜け出す力・環境に適応する力。どちらも一定じゃない。悪い交友関係があると人はものすごい簡単に変わる。良い方向に変わるには、好ましくない環境から勇気をもって抜け出して、より好ましい環境の力に乗っかれるまで新しい環境の中でじっと耐えるのが近道。でも最初に言ったように、変わっている実感が持ちにくいのもあって、難しかったりする。
他の人たちが気づいているか…? みんながみんな日々「変わりたい」と思いながら生きているわけではないのかもなぁとは思うけど…。
時間とは何でしょうか? あなたは時間をどう感じ取りますか? 時間を無駄にできますか?
時間とは、生命そのもの、もっとも変えがたいもの。
時間をどう感じ取るか…? 過去に見たものに再会したとき、自分の記憶と自動的に比べられることによって、自然と時間を感じる…とか? すれ違う高校生の制服が夏服に変わっていることに気づいて季節のめぐりを感じたり、昔書いた記事を赤面しながら読み返して自分側の成熟/老いを感じたりする。
時間を無駄にできない方だと思う。のちに「時間の無駄だったな…」と後悔してる自分を想像するだけで吐きそう(?)。なので明らかに後悔しそうなことは最初からしないようにする。具体的には、自分の意志に反していて、「やりたい」「やったほうがいい」とどうしても思えないこと。どんなに愚かで非生産的な行動でも、自分の意志でやったことなら後悔しないし無駄とも思わない。でも人に言われて渋々やったことは、ぜーったい後悔する。「やりたくなかったのに!あの人がやれと言ったから!」と失敗を人のせいにするところまで目に見える…。
予測する際に外部の助けを求めたくなりますか? このような予測を信じますか?
たとえば占いの結果とか、投資家や政治学者などの他人の予想に頼りたくなるか、ってコト? 確かに占いは面白いなとは思うし、専門家の予想をきくのも勉強になるな~とは思うけど、いずれにしてもその予測自体を信じているわけではないかなぁ。話半分というか「そういう見解もあるらしい」くらい。自分が予測するための材料の1つにしているかも。そういう占いの結果なり他人の見解なりもたくさん取り入れたうえで、最終的には自分の見たこと聞いたことをもとに自分で予測を立てるほうが、誤りが少ない気はする。どっちにしろ状況が変われば予測される結果も変わっていくし、少なくとも他人の立てた予測1つを頼るってことはしないなぁ。
かなりマジメなモードで回答していました。価値を感じている機能らしい特徴かもしれません。また、回答にストレスもなかったです。ただ「フツーのことしか言ってないし、これで主導する機能と言っていいのか?」という気持ちになりました。こういう「当たり前じゃない…?」って思っちゃうところも、強い機能らしい特徴ではあるのですが、自分では確信をもちにくいですね~。