宵のつれづれシリーズは、仕事帰りの電車の中で読めるくらいの軽い記事を書きたいなということではじめたシリーズです。今回は第59回、葛藤しないESIです。
葛藤しないESI
前回はですね~、誰に対しても「善」であるためには、それ相応の問題解決力がないと難しいよね~という話をして、内向倫理と外向論理の双対性について触れました。
そして、このことは内向倫理型ほど痛感してることなんじゃないのとしめくくったんですが、記事を書いたあとに、いや、うーん?そうだろうか?と考え直していました。
この「内向倫理型」で私が想定していたのは主導する機能×内向倫理のタイプで、具体的には前回までも取り上げてきたESIです。
……が、ESIなら、倫理的に葛藤が生じる状況をそもそも選ばないから、葛藤はそこにはないのではないかと思いました。
そして、むしろ葛藤を抱えているのは(私自身の経験から)IEIじゃないか…?と。
とりあげるタイプが偏りがちですみませんけど、ESIとIEIのお話でなかなか示唆に富んだお話があります。せっかくなのでアレンジ加えつつ紹介します。元ネタはいつものストラティエフスカヤ先生ですので、興味があったら読んでみてください。
IEI夫とESI妻。ESI妻は歌手。小さなステージの上で、よく某人気歌手のカバー曲を披露しています。

私って、某歌手の方の曲を自分のライブでたくさんカバーしてるけど、自分の歌いたいように歌ってるだけだし、なにより私の歌い方って独特であんまり大衆受けしないと思ってるんだよね。
ある日、ESI妻の好きな人気歌手のライブに夫婦で参加したとき、IEI夫は、ESI妻に何度もこう耳打ちしました。

君の歌のほうがよかった。

この曲も君が歌ったときのほうがよかったよ。君のほうがうまい。

(無視)
ESI妻はIEI夫を無視してライブを聴き続けました。ライブが終わると、その人気歌手はステージから降りて、ファンの席の横を通りながら、近くのファンに手を振ったり、ちょっと話したり、握手にこたえたりし始めました。
その歌手は夫婦の席にも近づいてきました。IEI夫は、ESI妻にこう言います。

こっち来たときに、「私もあの曲歌ってます!」って話しかけよ!

うーん。

ほら、もう来るよ! どうする?! ほらいこ! 今! 早く!

それは……やめとこ。
人気歌手は、夫婦の前をただ通りすぎていきました。
IEI夫はイライラを隠し切れずこう言います。

…えぇ…なんで…? 話しかければよかったのに…。

同じ曲を歌ってるとかわざわざ宣言されても、向こうもいい気しないでしょ。

うーん、でも僕はもったいないなと思っちゃうけどね…。だって君の歌は本当にーー

私が同じことを言われたら、「喧嘩売ってんのかな?」って思うよ。「私の仕事を奪いに来たのかな?」って。言われたほうはいい気しない。
不満げなIEI夫に、毅然と言い返すESI妻なのでした…。
内容の深掘りはまた次回。