仕事帰りの電車の中で読めるをコンセプトにした、宵のつれづれシリーズ。今回は第51回目。牡蠣の幻想です。
牡蠣の幻想
前回は、負けず嫌いのIEEが、ILIの心の扉を開けるために尽力する(させられる…?)話でした。
ですが、IEEにも「もうこの人(ILI)と仲良くするのは無理だ」と我に返る瞬間は訪れます。
ILIは、心の扉に近寄ることを頑なに拒んでくるからです。誘っても全然来てくれない、かろうじて来させることに成功してもいつの間にか帰ってたりするし。連絡は既読無視されるし、なんならSNSはブロックされる。
これが、ILIによる力の「強奪」(暗示される機能×外向感覚)なのでした。ILIに関わろうとする人は皆、知らず知らずのうちに力を無限に吸い取られます。
ねえ待ってさすがにしんどいww ILIを遊びに誘ったら既読無視されてて、インスタ見たらそっちもブロックされてましたーー!! はいおわり!!
ILIは、自分の障害を打破し続けてくれることを心待ちにしているかもしれません…が、そんなハードでタフな駆け引きをする力はもはやIEEには残っていません。
だから本当ならここでもう、ILIとIEEの関係はプツンと切れておしまい!
……のはずなんですけど。
気づけば、IEEは再びILIの心の扉をこじ開けようとしています。IEEが負けず嫌いだから…というのも理由ですが、それだけではありません。
数日間または数週間経ち、ようやくIEEがちょうどILIへの熱を冷まし始めた頃、その理由は明らかになるでしょう…。
♪ポロン
IEEのスマホに、まさかのずっと音信不通だったILIからLINEが届きます。
これから銀座で牡蠣を死ぬほど食べようかなと思ってるんですけど、よかったら来ませんか?
いやもうアンタとは無理だから!? フツーにバイトあるし断りますが…。
行きたかったけどこれからバイトなのー!!まじごめーん!!!
いえいえ。またよろしくですー。
IEEはもうだいぶ冷めてますから、突然の誘いになんかなびきません。どうでもいい。どうでもいい。
どうでも……。
牡蠣……?
牡蠣を死ぬほど……?
銀座で牡蠣を死ぬほど……?
ねえ、○日の夜とか空いてたりするー!?
・・・。
それは無視なんかーーーい!!!
こうしてまたILIに突撃して、クタクタになって、ムカついてきて……。これは完っっ全に縁が切れるまで続くでしょう。
※ひよこちゃんのセリフはイメージです。