以前タイプ別の恋愛スタイルについて記事にしたことがありますが、MegedとOvcharov(IEEとSLI)夫婦は、愛には8つの形があると言っています。今回と次回で、この8通りの愛の形について紹介していこうと思います。
8通りの愛
以前、Gulenko(LII)による恋愛スタイルの分類を紹介しました。そのときは、侵略者・犠牲者・保護者・子供という4種類があり、それぞれSe・Ni・Si・Neに対応しているということでした。
参考:
今回紹介する愛は8通りあります。ストルゲ、マニア、アナリタ、プラグマ、アガペ―、フィリア、エロス、ビクトリアです。今回は、ストルゲ、マニア、アナリタ、プラグマの4つを紹介します。それぞれFi、Fe、Ti、Teと対応する愛です。
1. ストルゲ
1つ目はストルゲStorgeで、Fiと対応しています。すなわち、ESI(ISFP)、EII(INFP)、そしてSEE(ESFP)、IEE(ENFP)がもつ愛のことです。古代ギリシャに起源をもち、ルネサンス期に発展してから、今でも通用する愛です。
これは親切心という愛で、深い理解と同情を含んでいます。歩み寄る力、優しさ、矛盾を取り払う力はみな、このストルゲという感情に固有のものです。このような形の関係では、何事においてもパートナーの味方になり、欠点に寛容で、調和、安定、喜びそしてリラックスした態度を求めることが特徴です。これは、パートナーが感じ取ってくれるのであれば、家族生活にとって理想的な愛の形です。この感情は脆すぎるところがあり、どんなときでも回復するわけではありません。ここでは魂の結びつきが一番重要であり、肉体的な結びつきに勝ります。
2. マニア
2つ目はマニアManiaです。Feと対応し、ESE(ESFJ)、EIE(ENFJ)、そしてSEI(ISFJ)、IEI(INFJ)が持つ愛です。マニア自体は古来から存在していましたが、広く普及したのは20世紀西ヨーロッパで起こった性の革命以降のようです。実用主義が強い現在ではかつてほどのドラマチックさはありませんが、それでもよく見られる愛の形です。
長期にわたる恍惚、愛への執念、その重要性の過大評価、こうしたものが激しく感情を揺さぶり、無謀な行動やドラマさえも引き起こします。このマニアという感情は強固で、独占欲が強く、要求が多く、完全な互恵性を渇望していますが、同時に多く妥協することもできます。この愛は、報われないときでもとても忍耐強いです。たびたびヒロイズムや自己犠牲、無条件の献身さえ可能にします。マニアは、変わりやすい気分に大いに左右されるので、矛盾に満ちています。この種類の愛ではたくさん喧嘩したり、態度が急に変わったり、束の間の浮気さえも経験するかもしれません。マニアは予測できない行動の原因であり、一般的に受け入れられている行動の規範を軽視します。
3. アナリタ
Tiと対応する3つ目の愛が、アナリタAnalitaです。アナリタは、LII(INTP)、LSI(ISTP)そしてILE(ENTP)、SLE(ESTP)が持つ愛です。フロイト、ニーチェ、ショーペンハウアーなど19世紀の哲学にはよく見られましたが、男女平等が進む現在ではあまりはっきりとは表されなくなっているようです。文学においてもこの愛には決まった名前が与えられてこなかったようです。
穏やかで合理的な関係性への願いが特有の愛の形です。この愛は個人的・選択的で、感情を抱いた対象に対し高い水準の要求をし、もし相手が期待にこたえてくれないときには失望してしまう傾向があります。この要求の多い態度には理想が欠けているのですが、人々の現実的な能力を超え出ることはしばしばです。このアナリタという感情は知的で、パートナーのふるまいを考えたり分析したりする傾向があり、その一方で自分の内的世界に没頭することはしません。抽象化・一般化する本性があり、感情を抱いた対象にとらわれずに結論を導き出す傾向があります。このときは、少しの感情と感覚があります。屈したり譲歩したりする性質は見られません。アナリタの持ち主は、知的なニーズと肉体的な欲望を合理的に調和させようという野心をもち、自分のパートナーの譲歩を大いに必要とします。(…)多くは理想的なパートナーと出会えず、この形の愛は、愛の完全な否定へと変わってしまいます。
4. プラグマ
4つ目はプラグマPragmaです。Teに対応する愛で、LIE(ENTJ)、LSE(ESTJ)そしてILI(INTJ)、SLI(ISTJ)が持っています。この愛はどんな時代にもありましたが、スピノザによって描かれ、18世紀には特に人気を博し、今でもその人気は失われていないようです。また、政略結婚などはプラグマによる結びつきだそうです。
精神的・物理的な打算に基づく、冷静で、実用主義的で、賢明な愛の形です。いくらか利己的であるにもかかわらず、「ギブ」と「テイク」のバランスが釣り合うことを目指します。感情を抱く対象について尊敬と理解したいという望みをもって考えます。このプラグマという形の愛は、そのニーズを自然に合理的に表現します。プラグマは、時に自分の利益を相手の利益よりも重視するのですが、双方の欲望と利益が満たされるようにしたいと熱望するのが特徴です。この愛は習慣によって強まり、時がたって感情を抱いた対象が自分の大切な財産へと変わると、たくさんの気遣いをもって接するようになります。
次回は後半の、アガペ―、フィリア、エロス、ビクトリアを紹介します。