ソシオニクスは「ILEバイアス」って本当? | いざよいブログ
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ソシオニクスは「ILEバイアス」って本当?

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性格類型に触れていると必ずぶちあたる壁、それがバイアスです。ソシオニクスは「みんな異なる視点から世界を見ている」ことが前提なのでバイアスバイアス言うのは不毛と思いますが、そもそもソシオニクス自体「ILEバイアス」という説があります。

バイアスとは

バイアスとは要は偏った見方なのですが、冒頭で言ったように、ソシオニクスには「みんな異なる視点から世界を見ている」という前提があります。私たちは、ある一点からしか物を見ることができません。それは神様と違って体があるからです。視点があるということは、見方が偏っていることと同じことです。しかしそれは別に悪いことではありません。だれもが偏った見方をしています。大事なのは、そうした自分の偏った見方、バイアスを自覚し、引き受けることです。そしてそれを教えてくれるのがソシオニクスだと思っています。

ソシオニクス自体、バイアス?

しかし、今回とりあげるのは、そもそもソシオニクス自体がバイアスだろという説です。ソシオニクスは自分の見方を気づかせてくれるツールですが、ソシオニクスの見解が、知らず知らずのうちに研究者自身のタイプやグループの見方を採用してしまっていることがあります。なぜなら研究者も人間であり、自分のバイアスから完全に逃れることはできないからです。

さらにソシオニクスという理論自体も、あるタイプやグループに有利な考え方と言えるかもしれません。有名なソシオニクス研究者のタイプにもかなり偏りがあるので、彼らのバイアスが自覚されることなくそのままソシオニクスの公式見解となっていることがあります。このようななかで、批判の対象として挙げられている例が、タイトルにも記したとおりILEバイアス、そしてアルファバイアスNeバイアスNバイアスです。

ILEバイアス

まずILEバイアスについて紹介します。ILEはMBTIのENTPと対応するタイプなのですが、ソシオニクスの創始者であるAugustaがILEであったことも関係しているでしょう。

(…)ILEは、現象の隠れた根源(多分Ne)が見え、それをシステムや理論に落とし込んでいく(Ti)タイプであるとみなされていました。長年、Augustaとその仲間たちは、新たな理論を生み出す科学者や思想家(アインシュタイン、ボーア、ニュートン、ダーウィンのような人たち)はILEであると決めてかかっていました。Common biases in socionics – Wikisocion

ソシオニクスの初期の研究者たちは、「理論を生み出せる人=ILEだ!」と単純に思ってしまったのでしょうか。Augusta自身もソシオニクスという理論を生み出していますから、なおさらバイアスを強化してしまったのかもしれません。

のちにAugustaたちはこれが誤りであるとわかったようなのですが、ILEバイアスは依然として完全にはなくなっていません。「健康」とSiが全く同じものではないように、「理論」とTiは全く同じものではないのです。そして、異なるタイプの人々はわずかに異なる性質の理論を生み出す傾向があるかもしれません。(同上)

同じ「理論」であっても内実は様々で、理論=Tiと考えるのは短絡的であり、さらに理論家がILEだとも一概には言い切れないはずだということですね。

アルファバイアス

次は、アルファバイアスです。「アルファ中心主義」とも言われます。アルファは、先のILEに加えて、SEI、ESE、LIIが属するクアドラです。

参考:4つのクアドラ~アルファとベータ編~ – いざよいブログ

アルファはTi、Ne、Si、Fe的な価値観を重視し、真逆のクアドラであるガンマの、Te、Ni、Se、Fi的な価値観を軽視します。ソシオニクスでは、アルファの重視する要素は広くあてはまる包括的なものとして描かれるのに対し、ガンマの要素の説明はなんだかはっきりしないものとして描かれることが多いようです。

たとえば、Tiは論理をつかったり理解したり組織化したりすることと関係があるものとして時々書かれますが、他方Teは、“ビジネスロジック”、でたらめで一貫性のない諸事実と関連するものとして、はっきり描かれないことがしばしばです。(同上)

Neバイアス

上のアルファバイアスの中でも、特に目立つのがNeバイアスです。

Neはアイディア、洞察、一般性への知的好奇心と関係するものとしてよく描かれますが、Niは“時間”と関係するものとしてあまりはっきりと描かれないことが多いです。(同上)

これについては、AugustaはILEの得意分野を際立たせるため、NiよりもNeの領域を拡大したのではないかと言われています。Augustaは主導する機能にNeをもつ人たちは、知的関心が強く目に見えない現象を研究し続けている、複雑な物事を単純化できるおかげで人に説明するのが上手、うまくいけば科学者や物書きになる、ということを言っているようです。しかしこれはNeに限ったことではないはずだということです。

ちなみに現在このNeバイアスがどうなっているかというと、

時がたち、このバイアスはロシアのソシオニクスでは弱まっており、Augustaのような主張がされたソシオニストによる出版物は、今ではほとんどありません。しかし、フォーラムや非公式の議論の場では、ソシオニクスの書籍からこのバイアスを拾い上げたアマチュアによって、こうした主張が持ち出されることが時々あります。(同上)

こんな感じだそうです。 

Nバイアス

最後にNバイアスを紹介します。ポピュラーなソシオニクスでは、Nは知的好奇心や「全体像」と関連していて、Sは「細部」や「今ここ」と関連していると言われています。しかしここにもバイアスがあるというのです。

このような分け方は多くの人、ほとんどの人にとって正しいように見えるかもしれませんが、知性のあるSの人たちは、Sの説明から示されるイメージを自分のことだとは思わないかもしれません。このような大衆向けの説明は、高い知性をもつほぼ全ての人々に共通する属性を「N」に分類しており、このせいで体系的なタイプ誤診が生じる可能性があります。(同上)

Nは知的好奇心が強いため、Sよりも知的に優れているというバイアスです。こうしたNバイアスがタイプの説明にも反映されてしまえば、Sの人たちは説明が当たっていないと思ったり「自分がSだったら嫌だ」と思ったりして正確にタイプをはかれなくなるかもしれません。

まとめ

ILEバイアス、アルファバイアス、Neバイアス、Nバイアスへの批判についてそれぞれ見ていきました。客観性を担保しようとするならこうしたバイアスは十分吟味しなければならないでしょう。逆にガンマの人、Sの人の意見も聞いてみたいなと思いました。

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